坂本真綾ライブツアー2011 You can't catch me 厚木に行ってきました!

もはや1年くらいエントリーがあいていてすみません。
僕は元気です。

さて、1年ぶりのエントリーも坂本真綾関連のエントリーから。
2011年のライブツアーYou can't catch me初日in厚木にお出かけしてきました。
大学時代は神奈川県に在住だったので、厚木という地名にも懐かしさと親近感が。
今回、チケットを譲っていただけたので、ご好意に甘えて参加してきました。

会場に入った瞬間、その狭さに少し意外性を感じつつ。
今回、構成も弦がなく、代わりにツインギターという構成。
バンドサウンド中心で鳴らしていく感じのライブで、従来のようにキャッチーなノリで手拍子するというよりは、体ごと乗れるようなそんなライブになってたと思います。
以下、全体及び個別曲の感想。
<以下ネタバレを多く含みます。これから見に行かれる方はページを閉じられることをオススメします>





かぜよみ及び武道館ライブの面々は、ある意味ポップスという意味では洗練された演奏の面々で、すごく相性がいいと思ってただけに、今回どうなるかなーと思っていたんです。
ツインギター構成をもっと押し出してくるかと思ったけれど、そちらに関してはソロパートが若干激しい以外はさらっとした感じでした。
バンマスの北川さんが全体のバランスをうまく舵取りしてるせいなんだろうけど、個人的には北川さんのバリバリやる演奏ももっと見てみたかったなあという所感。
ノーナリーブスの奥田さんのプレイはかっこいいけど、トピアなどの音使いなどを聞き比べても、前回ギタリストの石成さんの演奏のが好みではありました。
(泣かせどころの違いなんだとは思いますが)

今回個人的にMVPをあげたいなと思ったのはピアノ・キーボードの扇谷さんでした。
河野さんの手堅いプレイも安心感があるけれど、今回のピアノは、ピアノ弾きから見てもうまいなーと思って素直に聞きほれました。
ソロパートでの制御の仕方(細かいアドリブのセンスがとてもよかった!)もさることながら、後ほど述べますがムーンライトなどの伴奏に徹するプレイの歌への寄り添い方が、とても真綾さんの歌と相性がよくて。
今後アルバムとかでも組んでくれないかなー。

また、毎度のことですが、ドラムの佐野さんのプレイ、今回も素敵な演奏でした。
ニューアルバムでは叩いてないので、ある意味聞き比べできた部分も大きくて。
eternal returnや秘密のあたりのフィルインは、CD音源と比べても独特で面白かったし。
トピアのようなリズムキープにゆだねられた曲でも、その音色がすごく曲にマッチしてて心地よかったなーと思い出します。

個人的な意見として残念だったのはコーラス周り。手堅いコーラスだったと思うので、贅沢な話ではありますが。
武道館のときのコーラスの方と違って、音色がちょっとばらけてたり音量がばらけたりしてたこともあって、思ったより醍醐味が味わえなかったかなあ。
フレーズ終わりの歌の収め方(ビブラートとかも含めて)の処理がボーカルとコーラスでぶれてたのもちょっとした気になる点。

  • 演出・構成面

バスが高速道路沿いに会場にやってきて、また旅立つという演出もあり、バスのサイドミラーっぽいディスプレイが表示されてたりと、旅の雰囲気を感じ取りながらという感じのステージ構成でした。
途中ビロードのカーテン(DOWNTOWNのPVのような)を生かした演出もあったりして、個人的には視覚的にも楽しめたステージだったかなあと。
曲の雰囲気と色を合わせたような演出もあったしで、このあたりは毎回楽しみにしていている部分がちゃんと楽しめた感じで素敵でした。
そういえば、いつものライブより若干ですが男性比率高めだった(6.5:3.5くらい)印象でした。

  • 個別曲感想

(MCは割愛します、自分の頭の中の音の記憶を掘り起こしながらなので、色々違っている部分があるかもしれませんがご了承ください)

1.eternal return

やはりの一曲目。そしてピアノのイントロの瞬間にわっと歓声が上がり、総立ちになるこの雰囲気は、今までのライブのそれとは少し違う空気に包まれていたように思います。
僕の席の周りでは手拍子せずヘドバンしてたり体を揺らしたりして、音楽に気持ちよく浸っている人が多くて自分も楽しかったです。
ボーカルも最初から綺麗に伸びつつも、「諦めたいのに 何度も」のあたりの高音の感情の揺らぎ方に対して、「欲望を抱いて」の高音の混じりけのない声の出し方に巧さを感じました。

2.秘密

アルバム通りの曲順できたこの2曲目。歌の感情の制御ということでは、前の曲に続きボーカルの妙味を感じた一曲。
一方で、1曲目に続いてアッパーな曲だと思っていたんだけど、意外にも声や歌詞に浸ってしまって、あがったテンションが微妙なところに行ってしまった感じも。
要所でのフィルインが本当にかっこよくて、佐野さんのドラムが映えた一曲だったなあと思い出してるところです。
一方で、ストリングスに関しては今回打ち込み音源でやや物足りなさも。
最後の畳み掛けるサビの部分でAからA#の音を連続する部分の声がすごくスリリングで好きでした。

3.ミライ地図

実は、アルバム中で聞いてたときにはAメロ・Bメロが好みなんだけど、サビがあまり好きになれずじまいという曲でした。
今回、動きも含めてみてると歌詞にあったかわいらしさがあって、ちょっと前と聞き方が変わったような気がします。
今回のバンドの音にもよく合ってたし、特にベースの動きに躍動感があって好みの演奏でした。
たぶんサビが好きになれないのは、A・Bと妙にメロディーが離れてしまった感じがするからなんだろうけど、ツアーでの歌はちょっと茶目っ毛もあってよかったなあ。
もっとも序盤の3曲連続というのが多少しんどかったのが、「むねのなかー」の伸ばす音のビブラートがややフラットになったりシャープになったりで安定しなかったのが多少気になったところも。

4.キミドリ

イントロはギターからではなく、「トゥールトゥットゥルー」のコーラスからで歓声がどっと上がりました。
いつか生で聞けたらと思ってた曲がいくつかあったんですが、今回この曲も含めてそういう曲がいくつか聞けて個人的にめっちゃ嬉しかった曲です。
Bメロの高音部の抜けのよさは以前より随分とパワーアップしたなと思う反面、Aメロの低音部の透明感はそのまま堪能できてニヤニヤしておりました。
もっとも、この曲である意味コーラスに対してもっともっとと思ってしまった曲でもあって複雑な気分。(もっと主張してくれてもよかったなーと)

5.美しい人

遣唐使船再現プロジェクトまで飛んでいったのを思い出してしまう、いまや少し懐かしい曲。
この曲はちゃんとパーカッションや笛入りで聴きたかったなあという思いはあったけど、高難易度のこの歌がちゃんと目の前で再現されていることに改めて惚れ惚れしたなあ。
高音続きの曲が多かったせいか、普段はもっと出るよなーと正直な気持ちもなくはないものの、掠れることなく丁寧にまとめてきた印象。
この曲も「愛だけは」と被さるコーラスにもっとボリュームがあるとよかったなあと思いつつ。
高音のFの音は、ややCDの音源に比べて裏で抜いてる感じはしたけれど、上記にも書いたとおりそれがまとまってる印象でちゃんと聞こえてきていたので、かぜよみの頃と比べてもペース配分がうまくなったように感じました。

6.みずうみ

美しい人からみずうみの流れは曲のテンポとしてはすごくいい流れだったなあと会場で聞いていた立場としては思う次第です。
調性としても、C♭からAという形で明るいながらもダウナーに降りてきているのがうまいなあと感心。
一方で、声の使い方としては中音域より少し高音がサビで続く難曲なので、もう少し喉の負担に配慮した曲でもよかったんじゃないかとも思うところ。
この曲の最後のアレをどうするのかと思っていたら、オルガンやギターのアドリブで巧くまとめてきた印象。
あと、この曲のコーラスの声色はウィスパー寄りだったせいもあって、ボーカルにうまく嵌ってた感じでとても聞きやすかったです。
ドラムは原曲よりやや所々跳ねた感じがあって、それがまたみずうみに広がる波紋のような感じで、いいアクセントになってたと思います。

7.ピース

FCイベントでも2枚目のオリジナルアルバム「DIVE」からの選曲はあって、歌声の違いに成長を感じたものでしたが、この曲は聴きたかった一曲でイントロでテンションがあがりました。
ホーンの音がやっぱり生ならうれしかったなーとかいろいろ思いはありますが、バンドの演奏がグルーブ感たっぷりで、体が動き出しそうな衝動を何度も抑えました。
リズム隊めっちゃグッジョブ。
ボーカルについては、これが意外なほど当時の印象を強く残したボーカルで、ちょっと跳ねた声色がこれまたよかったー。
もっと余裕たっぷりに歌うのかと思っていたので、うまくグルーブに乗っかった若い声が印象的でした。
が、フレーズ終わりの処理などがやや疲れていた感じもあったので、このあたりは息の長い曲が続いたせいなのかなと思いつつ。
そういえば、みずうみからこの曲への繋がりは、調性が随分違うなと思ったんですが、前の曲のオーラスの部分でいろんな楽器が絡み合った後にイントロがきて各楽器が暴れるとあまり違和感がなかったのが不思議。

8.スピカ

MCをはさんで再び歌ったことがない曲をと流れてきたのがこの曲。
個人的に、坂本真綾の書く詩の中でも5本の指に入れたいくらいすごく好きな歌で、イントロ聞いてすごく嬉しかったです。
ただ、CDの歌い方で「どうか〜」のかの音の響きが破裂しすぎて、今の彼女の歌ならもっとうまく響かせるだろうにと思っていた曲でもあって、今回ようやく念願が適いました。
実際、どうか・日々がといった言葉の処理の仕方が格段にうまくなってて、ピースのときに多少へばってた感じの声がうまく調整されてて、内省的なA/Bメロと開放的なサビがうまく表現されてるように感じました。
あ、でも、願わくば・・・この曲の弦は打ち込みじゃなく生の弦で聴きたい。
反面、CD版でもドラムパートは結構おいしい使い方をしてたんだけど、佐野さんの軽いながらも渋いスネアの音色が曲をちょっと大人にしてくれててよかったなあと思ってます。
サビから間奏に移行するときのギターが乾いたいい音をしてたのも印象的。

9.ゼロとイチ

この曲は、良くも悪くもCDとの印象があまり変わらない一曲だったように思います。
バックの落ち着いた演奏に乗る声はスピカのそれよりもやや陰りがあって、あまり抑揚をつけないその歌い方が逆にぐっときて、原曲のおいしいエッセンスに改めて気がついた次第。
ただ、この曲のギターに関しては、石成さんの寄り添い方がすごくよかっただけに、今回のバンドのギターの音色はやや印象よりも元気だったかなという感じも。

10.キミノセイ

前半パート〆となる一曲。
CD版でも好きになった部分で、「やわらかすぎる感情を引き裂いて」という部分があるんですが、ここで本当にやわらかい声色に一瞬なるところを今回生で味わえてすごくうれしかった。
少年アリスの頃にも、アップテンポだけど影のある曲というのはあったけれど、今の彼女だとそれがマイナスの影ではなくて、どちらかというと、それこそが今ある自分の肯定のように感じられて個人的には歌声に痛々しさがなくなった(それがいいことか悪いことかはわかりませんが)なあと改めて実感しています。
ここで彼女が一度はけて衣装がえ。
最後のギターソロの暴れっぷりはよかったけど、PA関連でハウリングしてしまっていたのがとても残念でした。

11.Hello

後半のスタートが夕凪LOOPの一曲目であるこの曲というのにちょっと驚きました。
一緒に見に行った方たちから、今回一番印象的だった曲としてよく名前があがったこのHello。
夕凪LOOPというアルバムをあまり聞いてなかったけど、歌詞と歌がしみてよかったという声をよく耳にしました。
実際自分もすごく沁みた曲だった上に、サビの表現力がすごく増したなあとしみじみしていました。
高音や語尾の処理なんかが当時少し気になってた部分がうまく消化されて、今の彼女が歌うHelloでもう一度録音しなおしてほしいと思ったくらい。
「あしたをみつめること」の「こと」という単語のフレージングの強さが変わったせいなのかなと今ふと思いました。当時は音階の強さに引きずられていたんだけど、今はちゃんと見つめるという単語に芯がある聞こえ方になってるというのかなあ。

12.手紙

先ほどのHelloという曲が、実は仮歌では手紙というタイトルだったというエピソードが語られて歌われたこの歌。
アルバムの歌い方に比べて、やや坂本真綾らしさの残る歌い方。
北川さんのギターに寄り添って歌う感じがくすぐったくてよかったなあ。
永遠よりも長い間・僕の孤独に触ってくれた人、なんて言葉の選び方を見るに、実はすごく彼女らしい詩。
この曲も後半のコーラスはもう少し分厚くてもよかったような気がする。

13.悲しくてやりきれない

個人的にこのツアーの中で、後に述べるムーンライトと並んで一番ぐっときたナンバーがこれ。
CDのバージョンに比べ、もっとジャズトリオ色が増したアレンジで、ややスウィンギーなアドリブが随所にきいたライブならではの良アレンジでした。
それに伴って、彼女の歌い方もリズム感のとり方が少し変わってて、ある意味サウンド側に寄り添った形でこれまたよかった。
「かなしくてかなしくて」の二回目の悲しくて、なんて歌い方のシンコペーションが多少変化していて、すごくグルーヴィーだったんですよね。
原曲の歌詞を噛み締めるようなカッチリとしたスタイルも好きですが、体が揺れてしまいそうなくらいに、グルーブ感溢れたいい演奏でした。

14.ムーンライト(またはきみが眠るための音楽)

E♭の調整に対して、Bのキーのこの曲が続くのは、歌いだしのD#(E♭)の音にあわせてきたのかなと思いました。曲がそのまま続いても違和感のない曲の続き方だったので、ちょっとうまいなーと変なニヤニヤ。
原曲の冨田ラボアレンジと異なり、今回はピアノと歌だけのシンプルな構成。
ディスプレイにうつる月がだんだんと移動していく中で、一番歌声の状態もいい曲だったのではないかと思います。
ここまではそれなりに耳馴れたアレンジのものが多かった中で、ライブならではの音が聴けて、ここにきてようやく歌声が沁みてきました。
(逆に前半パートは歌声・アレンジともに高品質であったものの、ライブ感に乏しい感じがあったこともあるのかもしれませんが)
ただ、後半の高音のサビのところとピアノアレンジはもう少し工夫があってもよかったなあと思ったりもして、今後のライブでの変化が楽しみなところです。

15.DOWN TOWN

バンマスの北川さんが踊りくるって、真綾さんが噴出してしまった一曲。
サビで手を左右に振ったりして、思った以上にライブとして盛り上がる曲になったのが意外でした。
ドラムがとても力強いビートで、ほんとにノリノリな曲として、それまでの空気が大きく変わったような気がします。
歌声も、CDでは結構いい抑制が効いてたんだけど、ライブでは随分とはじけた明るい声になってたなあ。
そして、何より印象的だったのは、ベースラインがとても原曲以上にウォーキングベースになっていたり、途中のギターがその割にロックテイストのソロをしてたりと、かなり色々盛り込んでいたことかもしれません。
いろんなエッセンスを楽しみながら聞けて、ほんといろんな楽器を聴くのが楽しい一曲でした。

16.Private Sky

メンバー紹介がドラムのキック音だけでテンションがとても高いまま一気に突入したこの曲。ライブ中一番盛り上がった曲だと思います。
イントロのエレキの音でうわっと一気に歓声が。
サビでの客との歌のやり取り、やや尖った歌いまわしなど、ライブでの変化を如実に感じられる一曲でした。
あと、何より今回のバンドの構成とすごくいいマッチングをしたかなーと思ってます。
ブリッジの「Take Me To」のトゥの部分の音(高いD)がすごくばちっとはまってて気持ちよかったなあ。

17.Get No Satisfaction!

盛り上がる曲がさらに畳み掛けるようにやってきたこのナンバー。
ボーカルの具合としては、武道館のときのそれのほうがやっぱりフレージングがしっかりしてた覚えがあるんだけど、これはこれでこういうノリがさらに盛り上がって、ライブ感たっぷりのボーカライゼーションで、個人的にはこういう感情が先にたった歌い方が珍しくてノリノリになりながらも、ちょっとほほえましい気持ちで聞いていました。

18.マジックナンバー

北川さん作曲のナンバーが2曲続きました。Get No〜の歌い方とはまた違ってやや抑制のきいた歌い方が印象的。
ミックスボイス的なアプローチがさらに生きてて、前の曲との対比で思ったよりも楽しめた一曲でした。
なぜか体感でテンポが原曲より速く感じたのは、ドラムのパッセージが多少付点音符気味だったせいなのか、今でも頭の記憶に残った音の手触りを確かめてますが、さすがにドラムの音は記憶が抜けていってるなあ・・・。

19.光あれ

ここまでのアップテンポナンバーをやや引き締めたこの曲。
前回の武道館では光あれというのがすごく印象的なナンバーだったんですが、今回のこのライブでは、不思議と光あれに関しては、ちぐはぐな感じがしました。
ここまで内省的なアプローチのライブではなかっただけに、この曲自体がもつ力や、それによって変化するボーカルが、ここまでのやや開放的な音作りとちょっと違う印象を受けたからなんですけどね。
ボーカルに多少疲れは見えたものの、逆に声量がぐっと増してきて、改めて随分とライブ慣れしてきているんだなあと思いながらでもあり、特に「みちあふれー」の伸ばす音の美しさときたら、もうほんと涙が出るくらい綺麗でした。

20.トピア

実は、僕の中では、今回のトピアという曲、everywhereというある意味特別な意味づけの曲が、もう少し日常に降りてきたような、everywhereの続きの物語のような曲だと思っています。
本編の最後を飾ったこの曲、今までとは逆にCDよりは付点のリズムを薄くしたというか、ちょっと淡々とした歌い方になっていた気がします。その分、サビの「かかえて」「たべよう」などの単語の部分がすごくたっぷりと歌われていて、CDのときにeternal returnへとまたつながっていくような余韻とは違い、終わりを予感させるようなボイッシングだったと思っています。
あと、エレピが非常に細かくところどころで入っていたんですが、リズム隊の演奏の仕方のせいなのか、ちょっと原曲のAOR的なアプローチがもう少しシティポップ寄りになったような感じを受けました。

ER1.エイプリルフール

本来北川さんとのデュエットのようにMCで言われていたのに、結局北川さんが声を枯らしてしまったせいなのか、そういったニュアンスではあまり聞こえてこなかった一曲(笑)。
この曲は、CDでも感じたけれど、「夕陽とうそが〜」のゆの音の入り方だけ少し下の音から入るのがすごく印象的で、う行で韻を踏んでいる部分がすごく気持ちよく聞こえてきました。
最後のサビの「4月1日がきたら」の部分はリズム部分でおかずをはさまなかったのが意外でしたね、そういえば。

ER2.everywhere

ようやく原曲どおりのアレンジで聞けたeverywhere。
「そっとぎゅっと」の歌い方は、今まで聞いたeveryhwereよりもすごく包容力がある歌い方に変化していたように思います。自分がエッセイを事前に読んでいたせいなのかもしれないけれど、一番坂本真綾らしい曲だとずっと感じながら聞いていました。そのボーカルのナチュラルさも、他の曲よりも作為的ではなくて、単なるフレージングの部分で言えば、一番この曲のフレージングが好きでした。
惜しむらくは、コーラスのeverywhere〜という声質との差に妙に現実を見てしまった点。

ER3.stand up,girls!

ライブに参加される方には色々楽しみにしてほしいこの一曲。
客側とこんなにもかけあうことが出来る曲になるとは思わず、ライブで随分と印象の変化した曲です。
ぶっちゃけ、他の曲と違って手をたたくのに必死で、この曲だけ音の記憶が随分薄れてしまいました。
「stand up girls!せーの」で練習させられたのも遠い記憶のような感じでw
でも、「1,2,3,4」というカウントの声がほんとにかわいかったからいいんです。いやー、あの声ずるいや。

ER4.ポケットを空にして

恒例のアンコール曲。僕の周りの席はちゃんとみんな熱唱という感じでうれしかったなあ。
途中のアコーディオンの音はキーボードで多少さみしかったけれど、原曲通り、ボーカルも随分と力が抜けていて気持ちよく聞けて歌えた一曲でした。
「ないけれど」の歌い方も、武道館のときに比べてやや大人びた歌い方をしていて、声に余裕があるんだな、となぜか頭の片隅で考えながら手を打っていた記憶。
そういえば、stand up〜と同じハ長調同士で、つなげるのには相性よかったよなあとふと思い出しました。


その後、eternal return音源が流れ、手拍子で終わるという珍しい終演の仕方で、なんというか、ここからまだライブが続いていくんだという勢いを感じさせる形で2時間半のライブが終わりました。
今回のライブでは、武道館やかぜよみで披露されたいわゆる彼女を代表すると思われるシングル曲たちは殆ど入っていなかったわけです。それなのに、このライブでの曲目を味わってみて、まったく過不足は感じなかったどころか、聞きたかった曲がちゃんと聴けたなと思えたのは、実は色々なことを示唆しているのではと振り返って思いました。
前回の武道館が曲のつながり方も含めてうまく研究してたのに比べて、今回はそういった工夫なしでしっかりと彼女が歌える歌を歌いきった、そしてアルバム曲が中心でありつつも、ある意味独り立ちした彼女がちゃんと作り出せる次のステージというのが見えた気がします。

一方で、バンド編成に対してのアレンジがやや気になる曲があったのも事実で、特にいわゆるバンドサウンドをメインにした曲に対して、ストリングスやコーラスが多い曲たちがうまく料理できていない部分があったような感じも個人的には受けました。
こういった点がライブの回数とともに変化していくのであれば、それもまた楽しみではありますけどね。
特に、ピアノとベースがかなりアコースティックな楽曲でいい味出してただけに、もう少しそういった部分とバンドサウンドが絡み合って、いい味が熟成されてこないかなと次のステージに期待十分です。


MCについては結構忘れているところも多いんですが、今回いつものようにメッセージ性が強いものではなく、楽しんでもらえるようにという彼女なりの配慮が随分詰まったMCだったと思います。だからこそ、いい意味で、「普通のライブ」でした。
武道館のような特別な空間じゃないこういう普通のライブがこれだけ気持ちよく楽しかったのが、個人的にすごくうれしかったなあ。サウンド面でも豪華というわけではないし、色々キニナル点がありつつも、そういった点をちゃんとまとめるだけのボーカルがそこにあったのがとても幸せでした。
あと、厚木はやっぱり、「宇宙初」だらけのライブだったのが嬉しかった。

これを書いている3月11日、ちょうど厚木の次のステージ、福岡のライブ当日。僕も福岡に行ってきます。
全部のステージを見れるわけではないのですが、ツアーで変化するバンドの音作りにまた注目して聞く楽しみを福岡に向かう鞄の中に詰め込んで行ってきます。