坂本真綾15周年記念LIVE「Gift」in日本武道館に行ってきた!

すっかり春めき、年度がわりしてしまった今日この頃。

忙しい年度末の隙間をなんとか縫って、3/31に東京へと遊びに行ってきました。
坂本真綾嬢の30回目の誕生日でもあるこの日、彼女の初となる武道館ライブが催行の運びとなり、僕自身初めてとなる武道館に足を運んだのでした。


武道館から最寄となる九段下駅
名古屋からの上京だと、東京駅から大手町駅へ歩き、そこから東西線というコースになるんですが、この大手町までの行き方がさっぱり・・・。
そして、名古屋からの上京の暇つぶしに買ってきた彼女のベストアルバムを聞こうと思いきや、いきなりヘッドフォンを忘れる失態っぷり。
あわてて無印でイヤホンを買いつつ、店員のお姉さんに大手町まで案内してもらったりなど、本当にこの時点で色々な方にお世話になりました(ノω`)


九段下の駅で、普段twitterでお世話になってる方に出迎えてもらったりしつつ、友達と合流し、早速物販へ。
春らしくあたたかい気候でもあり、物販自体は友達&友達の後輩とわいわい並んで1時間ほどで購入場所へ。その間にも、twitterの真綾部のみなさまに探しに来ていただいたりして、はじめましてのご挨拶など、人見知りの自分には結構たいへんなイベントがいくつかありましたけどね(笑)。
あの場でお世話になったみなさま、本当にありがとうございました。

さて、購入物は、こんな感じ。
パンフレットが複数あるのは、友達のお土産用ですけどねw
Tシャツは、イラストだとピンクがかわいく着れそうだと思ったけど、思ったより男が着れなさそうな感じだったので、黒に変更。
まあ、ツアーTシャツって最近こそ着れるデザインのものが増えてきたけど、結構記念アイテム的な様相も多いから、なかなか普段使いで着れるデザインのは少ないなーとは思うんですけども。。。


さて、そんなこんなでいよいよ本編。
僕は1Fのスタンド東側の一番壁側という、普段監視員の方が座ってるんじゃなかろうかという席でした。
まあそれはそれで、よく見渡せてよかったんですが、目の前の通路をたくさんの人が行き来するため、やや没入感が削がれた感じがあって、そこだけが少し残念。
それでも、この場に居合わせただけでもとても幸せだったし、その価値があるライブだったと思います。
観客の男女比は自分が見た感じ男:女で5.5:4.5くらい。


18時35分。
やや押していた開演時間にやきもきしていたら、突然客電がばっと落ちて、暗闇の中で大歓声。
ステージのところに作られていた大きな黒いボックス(赤リボンで巻かれたディズニーランドにありそうな外見)が上に徐々につりあがっていき、中からスモークと共に、いくつもの箱をぶら下げた真綾さんが登場。
遠めにはスカートがもこっとなってる黒い衣装でかわいらしく見えたんですけどね!

1.Gift

1曲目でいきなりくると思っていた、このライブのタイトルでもある「Gift」。
比較的低音域〜中音域での曲だと思うんですが、低音の安定感が随分あるなあという印象。
声自体は1曲目でもあり、すごく伸びるとまでは感じられなかったけれど、CD音源とは異なる低音の仄かな色気と、それでも変わらない透明感。
今回、コーラスが2人ということもあり、Bメロのところから入ってくる下コーラスがちゃんと再現されてて、個人的にはすごくうれしかったなあ。
「ジレンマばかりの日々なのさ」という歌詞の響き方が変わったのは、多分そのジレンマを実際に抱え、それとうまく折り合ってきた彼女ならではの表現に感じられたからなのかもしれません。
もっとも、なのさ、という言葉の押し出し方が昔より柔らかくなって、それがまた心地よく聞こえてうっとりしてたのもありますが。

2.Feel Myself

実はすごく好きなんです、この曲。1stアルバムの1曲目を飾るこの曲、往年のAORサウンドにも通じるところがあって、結構凝ったコード進行ながら、メロディーが歌いやすい音域でまとまってて。
だからこそ、30歳になった彼女の歌でそれを聞いたとき、その15年という時間の堆積にじーんとしてしまって、少し目が潤んでしまったのを覚えています。
だけど、「時間も空間もないココロで」というメッセージ、今の真綾さんが歌っても何の違和感もないことこそが、坂本真綾の魅力でもあるんだと少しフェイクがかった最後の歌の部分を聞きながら思ったり。

3.プラチナ

イントロでわっと観客の沸く声が。
かぜよみライブのときと違って、あまり原曲とフレージングを変えず、コーラス共にかなり元の雰囲気に忠実な演奏だったような気がします。ただ、まだ緊張されてたのか結構この曲だと歌詞が飛んでたのはご愛嬌。
ブリッジのところあたりでは、(歌詞間違いで)緊張がちょっとほぐれたのか、声がぐっと伸びて武道館の空に歌声の余韻が残るほどでした。
今回、かぜよみのときより弦がよかったなあ。かぜよみライブは、個人的にはちょっと弦が調整不足かなと思う部分がいくつかあったりもしたので。


ここで最初のMC。「こんばんは、坂本真綾30歳です。」という挨拶になぜかおかしくなってしまったのはナイショです(笑)。
ライブのMCの狭間に入る客側からの声は女性からの「かわいいー!」という掛け声がとても多くて、本人もとても照れくさそう。

4.blind summer fish

まさか生で聞けると思わなかった曲でした。コーラスワークも複雑だし、裏に入ることが多い曲だから、ライブではやりにくいのかなと思っていたので、だからこそ聞けてすごくうれしかった。
今はきっと高音部は普通に地声で出るんでしょうけど、女声コーラスとうまく調和しながら、言葉の響きを大切に歌ってたような印象。
最後転調した後の「あなたの呼吸感じながら」の部分で少し裏に入るところなんて、ライブなのにホント情緒があって素敵だったなあ。

5.ヘミソフィア

七夕ソニック以来のヘミソフィア。相変わらず佐野さんのドラムに圧倒されておりました。俺もドラムやってたけど、あんな変態ドラムどうやっても無理です・・・笑
さすがに前の曲と違って急に声を張らなきゃいけなかったせいか、ややボーカル部は大変そうにも聞こえたものの、それゆえに切迫感もあっていい演奏だったと思います。
個人的にはもうちょっと張るボーカル曲の後で聞きたかったりもしたんですけどね。
弦がいい塩梅で切迫感を引き立ててたんですが、この曲に関してはもうちょいバランスいじってもらってもよかったかなあ。武道館の箱でそれをやるのも大変なんでしょうけど。

6.ユッカ

DIVEの中で間違いなく一番リピートしてる曲。岩里さんの詩ではあるけれど、どこか坂本真綾というアーティストの本質をついたような詩で、また弦がある今回のライブだからこそ聴きたかった曲でもありました。
「一人で生きていくけど一人で生きていけない」という謎の歌詞になってたのに思わず噴出したけど、それはそれである意味深いような(笑)
淡い照明効果のせいもあって、当時よりややボーカルの表情が穏やかに聞こえたんだけど、それは逆にこの曲が持つ生と死の対比をうまく浮かび上がらせてる感があって、今の坂本真綾の歌で聴けてよかったなあとつくづく。

7.30 minutes night fright

打ち込みメインの音作りが原曲なので、まさか佐野さんのドラムで生で聴けるなんて思わず声を上げた一曲でした。欲をいうと、ベースラインはもうちょっと工夫できたんじゃないかしら、とも思いつつ。
この曲はエアポートのような絵作りがとにかく印象的でした。もっとも、ボーカルに関してはちょっとこの曲のボーカルは少し張りがなかったり、あるいは部分的に張りすぎてるような感じもあって、調整含めてまた別の機会に聞きたいなと思ったりも。
でも、原曲がすごく好きなので、まずは聞けてよかった。


この次にきたMCで、早めのバンド紹介がありつつ、今日という日が1日だけであり、特別だと語る真綾さん。その狭間の水を飲むところで、案の定「おいしい?」と声があって、どっと沸く会場。まあその後同じ掛け合いがありすぎた感もあって、個人的には自重してほしいなと思う場面もあったけど、「ふつー。水は水だろっ」と男らしく言い切った真綾さんの声に、見に行った友達とみんなで「やべーかわいい」と言い合ってたりも(笑)。

また、メルマガにお母さんがちょっとずつ彼女の半生を振り返る連載もどきのものが、全然いつまでたっても終わらなくて、今日になっていきなり「中学高校といろいろありました」でまとめられたなんて話もあって会場は大笑い。こういうMCの声自体もすごく落ち着くんですが、なんというか話のまとめ方がとてもクレバーだなといつも思います。

8.Remedy

最近よく歌ってるせいか、ボーカルのフレージングも表情豊かで、このあたりではホントうっとりでした。かぜよみのときと異なり、コーラスが入ることで曲がぐっと締まり、またブリッジのところの弦が本当にぴたっと入ってきて、それがボーカルと相まってすごく温かい空気になったように感じました。「守ってくこと それが今の夢」という部分での高音の抜けがすごく綺麗で、身動きすることを忘れて聞いていました。

9.紅茶

イントロ部分がさみしくもあったけれど、これも初めて生で聞けたこともあってうれしかったです。
今の真綾さんの声で聞くと、透明感はそのままにほんのりと色気があって、「どうしようもなく泣きたくなるよ」という部分なんか、当時のニュアンスと随分聞こえて、それはそれでぐっと来るものがありました。
さすがに中盤戦ということもあり、Aメロの低音部分が少し掠れたりもあったけれど、それがこの曲にはすごく合ってる感じもあって、セットリストの妙を変なところで感じたりして笑。

10.SONIC BOOM

実は、かぜよみの中でもすごく好きな曲。去年のFCライブで聴いて、改めてよさを実感した曲でもあります。今の坂本真綾の声質にすごく合った曲で、歌詞はシンプルな言葉だけどどこか本質を突いてて、ライブでもその言葉の一つ一つがよく染みてきて、少し切なくなりました。
余談だけど、サビの「早く一番大切な〜」のところと、スピカの「どうか君が〜」の冒頭の音がまるで同じなので、たまにあれ?と思ってしまいます。コードは違うけど、同じ調でメロディーも同じなんだよな(ノω`)
実は、もともとの音源ではちょっと音ががちゃがちゃしてるイメージだったんだけど、ライブではそういう気持ちになることもなく、また原曲以上に力強いイメージがありました。思いを形に変えるんだ、という言葉が陳腐に聞こえないだけの説得力がある声が本当に素敵だと思います。



SONIC BOOMのアウトロで引きずり、真綾さんがいったん退場し、その後に待ってたのが佐野さん&三沢さんのソロ!
超絶ドラミングや、間を意識したパーカッションの妙が楽しめて、個人的にはとても楽しめました。
佐野さんはスネアの音が軽すぎないけど重たくなりすぎず、本当に気持ちいい音出すんだよなあ。

11.奇跡の海

パーカスソロからそのままこの曲のイントロへ。女性コーラス部分が今回はちゃんと再現されてた上に、その上にさらに伸びるように乗る真綾さんの声のバランスがすごくよくて、かぜよみライブのときと同じく鳥肌が立った曲です。
今回は音が分厚い構成になってたけれど、伸ばす音の部分でしっかりと声が伸びてくるのは、きっと今の彼女だから出来る芸当でもあって、その安定さに痺れることしばし。
とはいえ、実は歌詞間違いがないかドキドキしながら聞いてた曲でもありました(笑)。
この曲から衣装をチェンジして出てきた彼女は・・・あれ、ウェディングドレス?


その後のMCで、「結婚前に着ちゃったらお嫁にいけないんだよね、たしか・・・まあいいや」とさばさば切り捨ててしまったのがなんとも男らしくて、一緒に見に行ったグループの女友達が「私が嫁にする!」と断言してました。いやいや、俺がですね・・・。
「でもすごいでしょ、この衣装・・・エチゼンクラゲ?」という彼女の照れくさそうなたとえにまたみんなで心臓わしづかみなのでした。

12.gravity

ここからはしばらくしっとりと、というMCに続いてやってきた英語曲!七夕のときに一度聞いてはいるものの、今回はコーラスとの絡みもバッチリ。
個人的に真綾さんの声は低音〜中音域にかけるところもすごく芯があって好きなんですが、英語の発音の心地よさに相まって、会場の空気がこのあたりから少し変わったような気がします。

13.カザミドリ

もうこの位置でやってきたかという、今の彼女にとってすごく大切であるはずのこの曲。
今回はアコースティックアレンジでのバージョンになっていて、個人的にはこのバージョンが一番好きになりました。早く音源になるのが楽しみ。
下の音(A)から高音部の(F#)と非常に音域の広い曲なんだけど、そのどこの部分の響きもしっかりと響いてくるのが今の彼女のボーカルの魅力のひとつだなあと改めて実感。

14.ダニエル

せり出したセンターステージでギターの石成さんと二人だけで奏でるダニエル。
ギター1本ということもあって、力強さと繊細さが同時に備わったボーカルの妙味を十分に堪能できて、個人的には一番彼女の声が聞けたパートだったかなと思ってます。
また、石成さんのギターがまたいいんだよなあ・・・彼女のボーカルにあわせた揺らぎもありつつ、最後のキメの部分をちゃんとはずさず決めてきて痺れました。


その後、真っ暗になったステージからピアノの音が。
明らかに約束はいらないのメロディーなんだけど、まるで菅野さんとピアノでやってるときのような伴奏に思わず視線が向きました。河野さんは、比較的型にはまったピアノなのに、実はこんなくだけたピアノも弾けるんだなーと思っていたら・・・。

15.ピアノメドレー

ピアノに指をおろしてたのは、誰であろう彼女の育て親菅野よう子
僕は、特別彼女のファンというわけではないものの、この展開を実は予想してなかった一人で(バンドメンバーを差し置いて出てくるとは思わずで)、おかげで観客と同じく興奮して「ええええええ」と叫んだ一人ですヽ(;´Д`)ノ
そして、大興奮の観客の声を背にして、伴奏がそのまま指輪のメロディーに流れて。
「涙が後から〜」という聞きなれた彼女の声を聞いて、ついに堪え切れずぼろぼろと泣いてしまいました。

泣いてしまったのは別に菅野さんが出てきたからじゃなくて、菅野さんのピアノに対して、堂々と渡り歩いていける自信をもった彼女のボーカルと、また菅野さんを演出のひとつに組み込めるようになった彼女自身のプログラムに対する自信に対して、だったような気がします。
ともあれ、Active Heart→アルカロイドと流れ、右足出して左足出して、の部分ではそのとおりに足を出すかわいい演出を経て、今度は夜明けのオクターブへ。
あの台詞を本当に恥ずかしそうにやっていた真綾さん。まだまだ30でもかわいいからもっとやっちゃえよ(´ー`)なんちて。
このかわいい曲たちの間、菅野さんと幾度となくタイミングをあわせながら、ボーカルにいい意味で緊張感が抜け、ぐっと声量が増したように感じました。

その後ピアノの伴奏がやや影を落とした音に変わり、流れてきたのがTell Me What The Rain Knowsでした。
とあるサントラにひっそりと収められたとても短くて美しいこの英詩の曲、彼女の憂いのある高音ファルセットを堪能できる一曲なんですが、本当に絶品でした。
その後、コード進行をやや抑えめにしながら移行したtune the rainbowでは、少しここまでの曲の中で抑え目だった抜けのいいボーカルがぐっと引き出された感じもあって、次の曲に移ってくのが惜しいなと思いながら耳を傾けてた僕です。

そう思ってた矢先聞こえてきたのが「さりげない言葉で言っちゃえよ」というアレ、そう、チョコと勇気(チロルチョコのCM)でした。
誰もが聞けるとは思ってなかった曲なんだろうけど、これ映像化のときに企業名入ってるしだいじょぶかなあと今でもドキドキです笑。
そして、コードがまたマイナーコードへと移って流れたのがアコースティック版トライアングラー
マクロスライブで聴けなかったので、どうしてもききたいと思ってたこともあり、すごくうれしかったのですが、一瞬でまた次の約束はいらないへ。
大事なデビュー曲もメドレーの中に見事に組み込まれ、最後は菅野さんからのハッピーバースデイトゥーユーで〆。

個人的には、意外な曲ばかりが聴けてとても楽しめたけれど、tune the rainbowあたりはやっぱりフルで聞きたかったな、という少し贅沢な思いも。


さて、そんな興奮が落ち着くかと思いきや、いきなりその下から派手な衣装が出てきて、さらに手にしているのはなんとエレキギター・・・!

16.Get no Satisfaction!

ジャジャッジャジャッという最初のリフの部分をぎこちないギターで奏でる真綾さんが本当にかわいいやらなにやらで、会場の空気がさっきのテンション以上にぐっと上がった一曲。
さっきの菅野さんのメドレーよりも個人的には熱気があった一曲だったんじゃないかと思います。
だってだって、ギターは断念したって言ってませんでしたっけ・・・!
ボーカルも抜けのよさとちょっとした可愛らしさを混ぜこぜにした按配で、聞いてて本当に楽しかった一曲でした。
演奏レベルの高さとギターのサプライズもあって、このときの楽しそうな真綾さんが個人的には一番印象に残ってます。


その後、そのギターに関するエピソードを話しながら、今回のアルバム&武道館に関連した展示品の話へ。
「そういえば、お願いがあるんです。私の等身大パネル、もし当たったら人がいたら、私に返してください!」という言葉に思わず会場苦笑い。なんというか、本当にこの人のMCって可愛らしいんだよなあー。

17. マメシバ

ここまであまり動かない曲も多かったんですが、マメシバでは会場のあちこちを走り回って、本当にエネルギッシュな印象に。
それなりに近い場所にきてくれたりもして、思わず手振ってみちゃったり。
この曲、歌うとなれば肺活量がちゃんとないと難しい曲なんだけど、走りながらもぶれない発声に思わず鳥肌が立ちました。最後のアウトロの部分、伸ばす音のぶれなさとかすかなビブラート、今でも耳の奥に残ってます。

18.Private Sky

ライブ用に作ってきたというだけあって、本当に楽しかった一曲。
「アイ、アイ、アイ」の部分をまさか観客にやらせるなんて聞いてないって笑!
でも、こういうポップロック+ポストグランジみたいな感じの曲って、ボーカル次第ではすごく下品になりがちなのに、生で聞いても清涼感たっぷりなのは、真綾ボーカルだからこそなんだろうなと改めて実感。
とはいえ、バックの音作りも下品にならない程度に遊びが入ってて、サウンド全体を素敵に楽しめた一曲でした。

19.光あれ

かぜよみライブではハイライトになったこの一曲。今日は乗りに乗った後で十分に油が乗ったボーカルが聞けたような気がします。
途中でセンターステージで段々と彼女を乗せた台が上昇し、光で会場が満たされる演出もあったりで、視覚的にも随分楽しめました。
個人的には、5拍子なのに無理に入ってくる手拍子にやや気がとられがちだったんすけど、まあそれはともかく、かぜよみのボーカルに比べるとやや力が抜けて、聞きやすい演奏だったなあと思います。


曲の終わりと共に「次がラストの曲です」とのアナウンス。どよめく会場をよそに、彼女が次に語ったエピソードこそが、前回のかぜよみライブにおける「光あれ」の告白と同じ意味を持つ、もうひとつの告白でした。
ひょんなことから歌手の自覚もなくデビューをしてしまった自分にとって、次のDIVEというアルバムにて、何度ももがいて自分の存在意義を確かめるために書いた、大切なうた。

20.I.D.

そのうたこそが、この曲でした。
思えば、everywhereの一曲目がこの曲という意味、今回のライブまでは意味をちゃんとわかってなかったような気がします。彼女の言葉で語られたこの曲に含まれた意味を受けて歌われたそのボーカルに、思いがけずまた涙が止められない状態に。
あの空へ、という部分、当時の録音を聞くとなぜか閉塞感を感じるんですが、今のボーカルで聞くこの曲はとても開放感と喜びに満ちていて、ただその瞬間がすごくいとおしく感じられたのを今でもよく覚えています。


アンコールで紺のショートドレスのような格好で出てきた真綾さんと共にさきほどなかったものがひとつ。
「ドラム・・・私がたたくんじゃないですが(笑)」
そして、導かれたもう一人のゲスト。

21.風待ちジェット

そう、何度となく彼女とタッグを組んだシンガーソングライター鈴木祥子!楽器をなんでも出来る人だし、佐野さんとのツインドラムもお手のもの。
随分と力強いドラムで、この曲のイメージが結構変わったのが新鮮でした。
そういえば、例の振り付け、自分の周りの席は殆ど全員がやってたような気がするなあ。ちなみに、この曲披露前には鈴木さんの歌と共にケーキが出てきて「えええ、サプライズはなしでっていったのに!」と拗ねる可愛らしい真綾さんが。

22. マジックナンバー

そして、もう一曲とツインドラム2曲目にきたのがこのマジックナンバー
原曲もすごく好きなんですが、くるくると回転しながら歌う彼女の楽しそうなボーカルが武道館の狭い空をいっぱいにしていて、「1・2・3の合図で」の部分では、みんなで猪木のコール状態になってたような気がします(笑)。
そういえば、この曲の弦がすごくよかったなあ。ボリューム感ある演奏で好みでした。

23.everywhere

MCの後、彼女がおもむろに座って弾き出したのがこの曲のイントロでした。
キーをひとつ下げて弾き易い音にしていたものの、1番のサビまで彼女自身の奏でる音+コーラスだけで見事に歌いきったことに、思わず胸を打たれました。
この曲、Aメロ・Bメロのメロディー運びが知的で好みなんだけど、これが作曲初の人から出てきたメロディーであることが何より恐ろしいなと思います。
そのあたりは、なんでも乗せりゃいいわけじゃないだろ、とシニカルに見てた一人だったんだけど、作曲者を伏せられてても好きになってた曲だと思います。
途中から調が変わり、オケが全部乗った状態で歌われたこの曲、会場中が一音も聞き漏らさないようにといい緊張感が走ってるようで、すごくいい空気の5分間だったなと今でも思い出します。

24.ポケットを空にして

やっぱりないと困るよね、なこの曲。
ノースリーブにした彼女と共に現れた4人の女性。
そう、ゲストのお二方+コーラスのお二人でした。
アコーディオンをもった菅野さん・タンバリンの鈴木さんが本当に楽しそうで、見てる自分がほっこりしながらの恒例の曲。前回のかぜよみのとき、ちゃんと歌えなかったので、今回こそはと楽しみにしてました。戻っていく日常が特別な日常であることを再確認するこの歌が今日も最後に歌われたことも、また坂本真綾からのGiftだったのかもしれません。


こんな感じで、本当に気がつけば3時間が過ぎていました。
実は、前回のかぜよみライブがすごくいい出来だった故に、今回のライブ、それ以上のものは見れないんじゃないかという変な心配がありました。
しかし、レポートを読んでいただければわかると思いますが・・・表現者としての壁を乗り越えた姿が美しかった前回のライブと違い、今回は一人のエンターテイナーとして計算されたエンターテイメントを見事に展開してもらったステージだったと思います。
ボーカルも固さの具合は緊張感などで様々ではあったけれど、総じて状態がよく、低音から高音まで本当に伸びのある透明感と風通しのよさを備えた声が、3時間ずっとホールに響いていました。

また明日からはじまる日もきっと特別な日だと彼女は言います。
もしそれが本当だとするなら、この思い出を抱えた一日がまた送れるからに他ならないのではないかと、僕はそっと思うんです。
空を包み込むように枝を伸ばした桜を見上げながら、少し花曇りの夜の空が、ちょっぴり眩しく見えた東京の夜。


−僕の2010年3月31日は、こんな特別な一日でした。