人生を変えた10曲

好きな曲の数でいえば、10曲どころか100曲でも収まりきらない。
それでも、この曲と出会えたから何かが変化した&10年経っても20年経ってもきっと好きでいられる曲を選んでみました。



1.Ned Doheny / Between Two Worlds

僕の親父とお袋が、二人ともに好きなアーティストがネッド・ドヒニーというAORのアーティストでした。
こんな透明感と芯のある声なのに実は40代なんです。
声変わりが始まった頃、こんな声で歌いたいと思って歌を歌いすぎて、喉をつぶしかけたくらい。
トゥーワールズは、サビで急に暗い調性になるところがたまらなく好き。曲の中にこんな喜怒哀楽が入った曲が僕も書きたいなあといつも思います。



2.山下達郎 / 蒼茫

この曲をテレビのCMで聴いたとき、その空気感に圧倒されて、テレビを消した後もずっと暗い画面と対峙していたことを思い出します。
高校生のとき、色々と持て余した衝動や空回りする感情たちをおさめるがごとく、この曲を何度も聴いていました。
今思えば、自分の生き方のテンポというのが、この曲を聴いてなんとなく分かったというか、それ以降の自分の歩調に大きく繋がった曲だと思います。
エンディングのラララコーラスは、今聞いても鳥肌がやばい。



3.PE'Z / AKATSUKI

「蒼茫」が自分の歩調を確認できた曲であるならば、このAKATSUKIは逆に、自分の思い込んでいた常識たちを一気に解放してくれた曲。
当時大学のゼミで作曲にもがいていたとき、こんなジャズもいいんだ、かっこいいじゃん、って教えてくれた曲です。そして、今聞いてもやっぱりカッコイイ。
中学生や高校生が抱える衝動ではなく、大人がこうやって疾走感や溢れる感情を曲に詰め込むと、その音作りにほのかな感傷が混じって、すごく好みだなあと実感します。
B♭m7→E♭→A♭→G#→C#→F#と畳み掛けるようにうつっていくコードがスリリングで、そのとき行き詰っていた自分が脱却できそうな気持ちになれた大切な曲です。



4.坂本真綾 / rule〜色褪せない日々〜

明るいメロディーに乗った少し昔の僕にたいして問いかけるこの歌、どこか明るいのに切ないというのが自分の音楽のツボなんだと再認識した曲です。
「教えてあの頃よ、僕は今も煌いていますか」と何度も問いかけるこの歌。
大学受験・就職活動・そして新社会人と時を重ねていく間、ずっとこの曲を聴き続けてました。
名古屋から東京に転勤になるとき、友達に送別会を開いてもらった際、サプライズでお店(しかもベトナム料理やさんだった)でかかってびっくらいこいた曲でもあります。
名古屋での仕事というのは僕にとって人生の転機にもなった出来事だったので、余計にこの曲の「誰にも咎められないことの悲しさを思い知る」という部分にほろ苦さを感じ、「さよなら遠い日々、色褪せない僕の魂」というサビで大切な感情に触れることができたんじゃないかと思ってます。



5.JAMES INGRAM / JUST ONCE

かのクィンシー・ジョーンズプロデュースな曲。
ザ・80年代の曲だけど、そのメロウな曲調と太い歌声がマッチして、すげーかっこいい。
大学1年生のとき、軽音サークルの部室でピアノ弾きながら歌っていたら、ドアの前で友達が泣きながらこの曲を聴いてたのが今でも思い出されます。
当時は単なるキーボードだった僕ですが、「お前、歌も歌ってみろよ」と言ってくれたのが、多分僕が歌が好きになったきっかけ。



6.orange pekoe / 愛の泉

上にも挙げたような曲たちを聞きながら育った僕ですが、そんなこともあって一時期ジャズのコードを多用したアーティストにもずぶずぶはまっていました。
この愛の泉のライブ映像は、極楽鳥というシングルについてきたのですが、当時自分の歌に若干の行き詰まりがあった僕にとって、この愛の泉の映像は衝撃でした。
なんというか、歌が啼いている印象だったんですよね。
こぎれいに歌ってるCDよりも、聞こえは少し汚いかもしれないけれど、圧倒的に押し寄せる何かがあって、胸を打たれました。
歌ってこういうもんだったよな、と再確認できる曲。



7.CHEMISTRY / US

ここで、なんでCHEMISTRYやねーんと思いますよね、やっぱり。この曲、大好きなんですけど、ちょっと思い出料込みなんです。
今から7年前、ほとんど土日ずっと一緒にくっついて遊んでたくらい仲がよかった友達と、最後にカラオケで歌ったのがこの曲なのでした。1ヶ月後にはもう会えなくなるとも知らずに。

「歩いてく、振り返ればいつもあの日の僕らが映る」と懐かしむこの歌。
歌うときにはいつもヤツの姿が思い出せるので、僕にとっては亡くした親友を忘れないための歌なんだなあと今にして思います。そんなこともあって、ちょっぴり特別な記憶の歌。



8.ピチカートファイブ / メッセージ・ソング

上にも書いた親友とも思い出も含め、生きることの意味をそれからしばらく思い悩んでました。未来について思い描くことはその当時難しい部分もあったけれど、この曲の明るさと切なさと前向きさに、大きく助けられました。
さっきのUSという曲の後、おそらく僕が先に進むためにこのメッセージが必要だったんだと思う。

音楽的なことに触れると、「思い出して」の部分で音が急にナチュラルになるあの瞬間がたまらなく好き。
ピチカートファイブはどうしてもおしゃれっぽいというイメージが強いかもしれないけれど、技巧的にもなかなか面白いことをやってて、ゆがんだ音とポップが両立してたりで結構楽しかったりもするんですよね。



9.Dave Brubeck / Blue Rondo A La Turk

こんなカッコイイ曲が1959年とかに出来てることが何より衝撃だった。なんだこれ。
僕は小2のときからしばらくジャズドラムを叩いていたんですが、この曲聴いてひっくり返りそうになりました。途中の怒涛のような9拍子(2+2+2+3から3+3+3へ)を抜けると一気にスタンダードなウォーキングベース奏でる4拍子へ。
本当はパーカーやガレスビーを1曲混ぜようと思ったけれど、やっぱり人生を変えた曲となればこれかなーと思います。ある意味、僕がジャズドラマーになれなかった曲でもあるのかも。



10.塩谷哲 / Brazilian Rhyme (feat.Harumi Tsuyuzaki)

昔のカッコイイ曲がさっきの曲なら、今のカッコイイ曲がこれかなと思って選んでみました。
当時バリバリとピアノを弾き倒していた自分が、唯一この人のピアノだけは叶わないと思っていたのがこの塩谷さんでした。
ジャズという垣根を越えてこんなにカッコイイことが出来る。
ある意味では、色々なことに精通しているからこそできる曲でもあるし、僕も人生色々回り道しながらも、いつか自分でしか奏でられない人生の音を作るのが、たぶん夢なんだと思います。
そんな夢に気付かせたこの曲が、まさか音ゲーに使われていると知ったのは随分後のことでした。








おまけ Dale North - Home Again

I believed in roses kissed with dew
Why shouldn't I believe the same in you?