レビュー:GAME

GAME

GAME

木村カエラのせいとか、ニコニコ動画アイマスMADのせいとか色々言われてるけど、とにもかくにも確実にお茶の間のテーブルでもおなじみになりつつあるPerfumeの最新アルバム。


かくいう自分も、当初いわゆるアイドル的な見方しかしてなかったんだけど、楽曲を聴いてころっと評価を転換させたタイプです。ある意味これはすごい、と思った次第で。かつて、自分が小さい頃には、同じくロボット的な振り付けのアーティストとしてWINKがいたんだけど、それとはまったく意味合いの違う、懐かしいようですごく新しい音楽へのトライだと思う。


音的にはテクノポップといいつつ、ユーロビートもあれば、曲によってケルトの匂いのする曲だってあるわけで、ゴリゴリのテクノというわけでもない。ただ、当然中田ヤスタカプロデュースで統一された音が鳴ってる上に、アルバムを通した流れは相当に聞かせる流れになってると思う。そういった様々な音楽性はあくまでアクセントであって、中心にあるのは、なんだかんだいっても、彼女たちの透明感ある声でもあると思うわけで。


よくPerfumeは電脳的な匂いがすると言われるけど、オレはどうしてもそうは思わないんです。確かに、表情を変えないままで機械的な振り付けはついているけど、どちらかというと歌詞の感情は具体的な表現はなくとも切なさの欠片がちりばめてあるし、歌声はそれに対して淡々と透明感がありつつも、どこか甘さが残る。
10代の女の子独特の甘さなのかもしれないけれど、それはメロディーや歌詞の切なさを過剰じゃない程度にうまく掬ってくれる。日本人の心にすっと入ってくるのは、おそらく生っぽい曲や声ではなくて、少し淡い程度に色づいた切なさがポイントなのかもしれないなあとぼんやり感じた次第です*1


ちなみに、この「GAME」というアルバム、個人的には聞きどころは、「GAME」のゴリゴリの音から4曲目の「Baby cruising Love」〜「チョコレイト・ディスコ」〜「マカロニ」へと続く流れ。アルバムの中で聞くと、「マカロニ」のファニー感たっぷりの切なさがすごく胸に響く。

これくらいの感じで いつまでもいたいよね
どれくらいの時間を 寄り添って過ごせるの?

というこのサビの部分。普通なら多分切なさ全開すぎて逆にくどくなりそうなところを、あえて甘く歌うことで、ちょっと後ろ髪を引かれるような感じになる。実際殆ど具体的な描写は季節を表す冒頭の冬の部分だけなんだけど、言葉の単語が感覚的につかみ易いので、あまり具体性が乏しい歌詞だと思えないところも個人的にはすごく好きだ。


あと、アルバムが最後までだれないのは、ラスト2曲がまたメインを張れる曲2曲だからってのもあるかもしれないなあ。ともあれ、アイドルのようにも楽しめるかもしれないけど、単純に音楽ファンから見た場合でもすごく楽しめるアルバムだと思います。しばらくiTunesでまわそう。

*1:ぱっと思いついた感じだと坂本真綾とかもなにかつながる部分がありそうな気がする。